
LCCを利用することで航空券が安く買えるのは知っているけど、なんとなく不安だから躊躇している方や、人から「LCCはやめたほうがいい」と言われて不安になっている、という方は多いのではないでしょうか。
結論からいうと、LCCは万人におすすめできるとは言えず、航空会社のサービスに対して求める内容によってはLCCはやめたほうがいいといえる方もいます。
この記事では、LCCはやめたほうがいいと言われる理由から、それでもLCCを利用するべきメリットについて解説します。
LCCはやめたほうがいいと言われる10の理由
LCCはやめたほうがいいと言われるのには、大きく分けて10の理由があります。
JALやANAなどのFSC(フルサービスキャリア)と比べると、LCC(ローコストキャリア)では機体の性能やサービスが制限されており、その分、航空券の料金が安く設定されています。いわば、利便性や快適性を妥協して、安い航空券を購入できると言ってよいでしょう。
- 遅延や欠航のリスク
- 座席指定が有料
- 機内サービスが有料
- 空港が市街地から遠い
- 搭乗ゲートが遠い
- フライトスケジュールが限られている
- キャンセルや変更が難しい
- 座席が狭い
- 手荷物制限が厳しい
- 料金が分かりにくい
LCCにはデメリットもあることを理解しておけば、賢くLCCを活用することにつながります。ですので、単純にイメージだけでLCCを敬遠してしまうのではなく、LCCの利用で自分にとってメリットとデメリットのどちらが多いかを考える必要があります。
ここでは、LCCはやめた方がいいと言われる、具体的な理由について解説します。
遅延や欠航のリスク
遅延や欠航のリスクはLCCを利用する際の最大の注意点です。LCCでは、コストカットのために機材やスタッフが最小限で運航されており、予備のリソースに余裕がありません。そのため、1つのフライトで機材トラブルなどが発生した場合、他のフライトにも遅延や欠航の影響が及ぶ可能性があります。
また、シートが埋まらずにフライトが不採算であると判断されてしまうと、欠航になってしまうリスクもあります。遅延乗継に係る費用は保障されませんので、運が悪いと無駄な費用が発生してしまう可能性がある点に注意しておきましょう。
座席指定が有料
LCCでは原則座席指定が有料となっており、費用をかけたく無い場合は自分で座席を選ぶことができません。そのため、窓際の座席を希望する場合などには、航空券の代金だけではなく座席指定のためのコストが発生する点にも注意が必要です。
たとえば、ピーチの場合、座席指定には790円〜1,730円の必要が発生します。
機内サービスが有料
LCCでは、機内で提供される食事やドリンクなどの機内サービスが基本有料となっています。長距離のフライトの場合、機内食の費用が発生することも頭に入れておきましょう。
また、会社によってはCAのギャランティが歩合制となっている場合もあり、機内サービスの売り込みが激しいケースもあります。過度な営業が苦手という方は、搭乗するLCCのCAの接客に関する口コミなどを確認しておくようにしましょう。
空港が市街地から遠い
LCCはエリアにもよりますが、中心市街地からは外れた郊外の空港で運行されているケースが多くなっています。そのため、LCCを選択して航空券の料金自体を節約することができても、到着空港から目的地までの交通費や移動時間がかかってしまうケースがあることに注意しておきましょう。
半面、地方部にお住まいの方にとっては、市街地を離れた空港で運航されるLCCの方が利用しやすいケースもあります。
搭乗ゲートが遠い
多くの航空会社が運航するハブ空港で運航するLCCの場合、空港の入口や受付カウンターから、搭乗ゲートまでの距離が遠くなっているケースもあります。そのため、空港に着くのが搭乗時間ギリギリになると乗り遅れになってしまう可能性がありますので注意しておきましょう。
また、搭乗ゲートが分かりにくい場合もありますので、とくに初めて利用する空港の場合はWebサイトなどで搭乗ゲートの位置を調べておきましょう。
フライトスケジュールが限られている
LCCはコスト削減のため、採算の取れる路線や時間帯にフライトスケジュールが集中されることが多くなっています。そのため、目的地での用事に合わせて最適な時間のフライトを選ぶのには適しておらず、現地で数時間空きのスケジュールが出てしまう可能性もあります。
また、早朝や深夜帯のみ運航するLCCもありますので、時間に余裕を持って移動のスケジュールを決める必要がある点に注意が必要です。
キャンセルや変更が難しい
LCCの多くは、予約後のキャンセルやスケジュールの変更に厳しく、予約後のキャンセル・変更の場合には100%のキャンセル費用が請求されるケースが多くなっています。
そのため、ビジネスでの出張や、時間が押してしまう可能性のある推しアーティストのコンサートなど、時間変更の可能性があるフライトの予約には不向きです。
座席が狭い
LCCでは、可能な限り多くの座席数を確保するために、シートピッチが狭く設計されているケースが多くなっています。短距離のフライトなら我慢することもできますが、国際便などの場合は快適なフライトとは言い難い場合もありますので注意が必要です。
航空会社によりますが、座席にモニターやコンセントがない場合もありますので、シートでの時間潰しにも工夫が必要です。
手荷物制限が厳しい
LCCの多くが手荷物許容量が7kg程度までに制限されており、手荷物制限を超えると超過料金が発生してしまう点に注意が必要です。
会社によっては、重量だけではなくサイズにも厳しい規定が定められている場合もありますので、荷物の多くなるフライトの場合は事前にWebサイトなどで規定を確認しておきましょう。
料金が分かりにくい
LCCのWebサイトの多くには、最安値料金のみが表示されており、最終的に支払う料金が分かりにくくなっている点にも注意が必要です。シーズンや搭乗までの期間によっても航空券の料金は変わりますので、本当にLCCが一番お得なのかをしっかり比較する癖をつけるようにしましょう。
また、空港施設使用料金や支払い手数料など、LCCのチケット発行には必ず必要となる手数料があります。手数料も含めて比較して、本当にお得な航空会社を選ぶようにしましょう。
それでもLCCを利用するべきメリットは?
LCCはやめたほうがいいと言われていますが、それでもLCCを利用するべきメリットは、航空券の安さと自分に必要なサービスを必要最小限でカスタムできる点です。
ここでは、LCCを利用するうえでのメリットとなる点を解説します。
航空券が安い
LCCの最大のメリットが、JALやANAなどのFSC(フルサービスキャリア)の航空会社と比べて、航空券を安く購入できる点です。LCCでは、コスト管理を重視した経営方針や、余分なサービスの省略化によって、FSCよりも格安で航空券が提供されています。
とくに、国内線の場合は搭乗時間も短いため、座席が狭いLCCでも妥協できるという方も多いのではないでしょうか。
自分に必要なサービスを選べる
LCCの多くが、基本料金はミニマムなサービスのみが提供されており、必要なサービスは有料オプションとして付加していく形になっています。そのため、過度なサービスを必要としない方の場合は、自分に必要なサービスのみを選択することができますので、無駄な費用を省くことができます。
また、会社によっては、ミニマムなサービスの航空券、基本のサービスが付加されたワンランク上の航空券など、サービスパックで航空券が販売されていますので、自分の必要なサービスに応じて使い分けることができます。
国内線で利用できるLCC
LCCは「ローコストキャリア」の頭文字を取ったもので、運営の効率化やコストカットにより、低価格で運行される航空会社を指します。航空会社は主に次の3つに分けられます。
FSC(フルサービスキャリア) | JAL、ANA など |
MCC(ミドルコストキャリア) | スカイマーク、エア・ドゥ など |
LCC(ローコストキャリア) | ジェットスター、ピーチ、 |
コスト面から大規模空港を避けて就航されることの多いLCCは、地方の小規模空港の路線も多く、国内出張や観光にも役立ちます。
ここでは、それぞれのLCCの特徴やメリット・デメリットを見ていきましょう。
ジェットスター

ジェットスターは国内最大級のLCCで、日本国内で唯一、東京・大阪・名古屋の三大都市圏に就航するLCCでもあります。国内線の片道料金は4,180円からと、LCCの中でも最安値級でフライトできる点が魅力です。
また、有料オプションがセットになった運賃体系が提供されており、必要なオプション込みのチケットを購入することもできます。
Starter | 基本運賃 |
Starter Plus | 受託手荷物20kg など |
Starter Flex | 出発当日に手数料無料でフライトの変更可能 など |
Starter Flex Plus | すべての座席指定 など |
有料会員プログラム「Club Jetstar」では、特別価格でチケットを購入できるほか、特別セールの先行予約・購入が可能です。
- Club Jetstar会員特別価格
- セールの先行予約・購入
- 手荷物&座席指定が20%オフ
- 特典を最大5名まで利用可能
- 提携会社のサービスを受けられるパートナー特典
Club Jetstarは年会費3,980円の有料サービスですが、ジェットスターで年に2~3回フライトする方なら元を取れるのではないでしょうか。
ピーチ

ピーチは国内企業が運営するLCCで、関西空港や成田空港を中心に運行されています。2019年にはバニラエアを経営統合し、バニラエアの路線にも就航しています。
LCCでありながら安全性とクオリティが両立されており、欠航や遅延が少ない高い就航率も魅力です。国内線の大阪-東京間は3,990円からと格安になっていますので、格安でかつ安心して乗れる航空会社を探している方には最適です。
ピーチには3つの運賃タイプがあります。
ミニマム | オプションを省いたリーズナブルな運賃 |
スタンダード | 座席指定、預けて荷物1個無料 など |
スタンダードプラス | 便の変更、払い戻し など |
自身が必要とするオプションに応じて運賃タイプを選べますので、より柔軟なフライトが可能ですね。
スプリングジャパン

スプリングジャパンは、中国の春秋航空が出資して設立されたLCCです。中国企業が母体となることもあり、日本国内線はもちろんのこと、国際便では中国路線に強く格安な運賃が提供されています。
国内線では、北海道や東京、広島、九州北部の路線に就航していますので、他のLCCにはない路線を利用したい方におすすめできます。東京ー広島便は7,680円からと高速バスより安い格安運賃で運行されています。
スプリングジャパンではオプションがセットになった3つの運賃形態が提供されています。
ラッキースプリング | 基本となる運賃 |
スプリング | 無料預け手荷物20kg など |
スプリングプラス | 無料座席指定 など |
イメージから、スプリングジャパンは事故率や遅延・欠航率が高いと考える方も多いようですが、他のLCCと比べて極端に安全性に欠けるわけではありません。
スカイマーク

スカイマークはMMC(ミドルコストキャリア)ですので、厳密にはLCCではありませんが、LCC並みの低価格な運賃で運行されています。
MCCであるスカイマークは、LCCとFSCの良いとこどりともいえる、運賃とクオリティのバランスが魅力です。スカイマークには次のようなメリットがあります。
- FSCと同等のシートピッチ
- 受託手荷物が無料
- 無料ドリンクサービスが提供
スカイマークでは、搭乗前日まで予約できる割引運賃サービス「たす得」もお得です。たす得では、便ごとの空席予測数に応じて運賃額が変動しますので、オフシーズンでの旅行や出張におすすめです。
LCCをおすすめできる人・おすすめできない人
LCCは旅慣れした方や、とにかく安く飛行機に乗りたいといった方におすすめできます。LCCは基本的に最小限のサービスが提供されており、必要なサービスのみを利用できますので、JALやANAなどと比べて格安で航空券を購入できます。
半面、予約がWebのみになっていたり、キャンセル、変更が不可になっていたりと、使いにくい部分もありますので、年に1〜2回程度しか飛行機に乗らないという方には使いにくさもあるかも知れませんね。
LCCは人によってはやめたほうがいいかも?使い方次第でお得に活用可能
JALやANAなどのFSC(フルサービスキャリア)と比べると親切とはいえないLCCは、人によってはやめた方がいいかも知れません。たとえば、至れり尽くせりで快適な接客、サービスを求めている方にも向かないといってよいでしょう。
半面、旅慣れた方や、単に飛行機を移動の手段と捉えている方にとっては、LCCを活用することで航空券のコストを大幅に軽減できます。
まずは、LCCを含めた航空券の比較サイトで、FSCとLCCの航空券料金がどの程度違ってくるのかを確認してみてはいかがでしょうか!