毎日の生活に密着する決済ツールともいえるクレジットカード。
選ぶカードによって、損をすることもあれば得をすることもありますが、どのような基準でクレジットカードを選んでいるでしょうか?
中には、無駄な費用をかけたくないからと、年会費無料のカードに絞って選んでいるという方もいるでしょう。
しかし、「損益分岐点」を基準に選べば、年会費が有料のカードを選んだ方がお得になるケースも少なくありません。
この記事では、クレジットカードの損益分岐点の考え方や計算方法、損益分岐点を元にしたカードの選び方を解説します。
クレジットカードの損益分岐点とは?
損益分岐点とは、本来は事業において、売上から費用を引いた時に損益が0になる地点のことを指します。
クレジットカードに置き換えると、そのカードを利用することで得られる利益が年会費を超える地点が損益分岐点であると考えることができます。
ただし、クレジットカードには年会費無料のカードも多くなっています。
単純に損益分岐点を考えると、使わなくても費用が発生することのない年会費無料のカードの損益分岐点は0円です。
ですので、クレジットカードの損益分岐点を考える際には、単独のカードではなく、年会費無料の一般カードと有料のゴールドカードのように、相対的に計算されます。
利用状況によっては年会費無料のクレカよりも有料のカードを選ぶべき
損益分岐点を知ることで、年会費無料のカードよりも有料のカードを選んだ方がお得になるパターンを判断できます。
クレジットカードの損益分岐点はポイント還元率で計算されることが多くなっています。
たとえば、年会費無料で還元率0.5%のカードと、年会費11,000円で還元率1.0%のカードの損益分岐点は年間220万円です。
2枚のカードで年間220万円を利用した場合の獲得ポイントの差を比較してみましょう。
還元率0.5% | 11,000円相当 |
還元率1.0% | 22,000円相当 |
差額 | 11,000円相当 |
年間220万円の利用がある場合、獲得ポイントの差額だけで年会費の元を取ることができますので、この場合は年会費無料のカードよりも有料のカードを選んだ方が得と考えられます。
ポイント還元率以外にクレジットカードの損益分岐点に影響する要素
ポイント還元率だけで比較すると、楽天カードやPayPayカードのように、年会費無料でも還元率1.0%を超える高還元率のクレカを選んだ方がお得になるケースも少なくありません。
ですので、クレジットカードの損益分岐点を考える際には、ポイント還元率以外にも様々な要素で比較します。
- 年間利用金額によるボーナスポイントや割引
- コース料理無料特典や海外ラウンジサービス
- そのカードにしかない特典
ここでは、それぞれの要素について詳しく解説します。
年間利用金額によるボーナスポイントや割引
カードによっては、年間利用金額に応じたボーナスポイントや年会費の割引が用意されています。
たとえば、年会費1万円のゴールドカードに、年間利用金額100万円で1万円のボーナスポイントが付帯していた場合、年間100万円利用する方ならゴールドカードを選ぶべきです。
また、ゴールドカードの中には、年間の利用金額によって年会費の割引特典の付いたカードもあります。
コース料理無料特典や海外ラウンジサービス
プラチナカードには、コース料理無料特典や海外ラウンジサービスなど、高額サービスの無料特典が付帯しています。
コース料理無料特典では、1人あたり1万円を超えるコースも無料の対象となりますので、年に数回利用するだけで年会費の元を取ることができます。
一般的に、プラチナカードの年会費は高額ですが、ライフスタイルによっては年会費以上のメリットがあることを知っておきましょう!
そのカードにしかない特典
上位ランクのクレジットカードには、そのカードを持つことでしか得られない特典も魅力の1つです。
たとえば、デルタアメックスゴールドでは、デルタ航空の上級会員資格を取得できますし、ラグジュアリーカードのダイニングまでのリムジン送迎もユニークな特典です。
こうした特典は、金額に換算できる実益というよりもプライスレスな体験ですが、上位カードに年会費を支払うべきかどうかの判断基準となるのは間違いありません。
一般カードとゴールドカードの損益分岐点の計算方法
一般カードとゴールドカードで年会費の差がある場合、損益分岐点を知っておきましょう。
ポイント還元率の差で損益分岐点を算出する場合の計算方法は次の通りです。
【年会費の差】÷【ポイント還元率の差】=【年間の損益分岐点】
具体的に、次のようなスペックの一般カードとゴールドカードの損益分岐点がいくらになるかを計算してみましょう。
一般カード | ゴールドカード | |
年会費 | 無料 | 11,000円(税込) |
ポイント還元率 | 0.5% | 1.0% |
年会費の差が11,000円、ポイント還元率の差が0.5%となりますので、式に当てはめると次のようになります。
11,000円(年会費の差)÷0.5%(ポイント還元率の差)=2,200,000円(年間の損益分岐点)
上記の2枚のカードを比較すると、年間220万円以上利用する方ならゴールドカードを持つべき、という結論になりますね。
損益分岐点で比べるクレジットカードの選び方のパターン
損益分岐点でクレジットカードを比較する場合、ポイント還元率はもちろん、様々な要素で年会費の元が取れる地点を知っておく必要があります。
ここでは、様々なパターンでの損益分岐点の比べ方を紹介します。
年間220万円以上使うならPayPayカードはゴールドカードがお得
PayPayカードとPayPayカードゴールドの、年会費と還元率を比較すると次のようになります。
PayPayカード | PayPayカード ゴールド | |
年会費 | 無料 | 11,000円(税込) |
ポイント還元率 | 1.0% | 1.5% |
年会費の差が11,000円、ポイント還元率の差が0.5%となりますので、損益分岐点は年間220万円の利用となります。
このように、一般カードとゴールドカードでポイント還元率の差があるカードは比較しやすいですね。
年に2回コース料理での会食をするならUCプラチナカードの年会費の元が取れる
年に2回以上コース料理での会食をする方なら、UCプラチナカードの年会費の損益分岐点を超えることができます。
UCプラチナカードでは、2名以上のコース料理を利用した際に、1名分のコース料金が無料になる「グルメクーポン」が付帯しています。
UCプラチナカードは、年会費16,500円(税込)の格安プラチナカードですので、1万円のコースを年間2回利用するだけで年会費の元を取ることが可能です。
また、格安年会費のプラチナカードでは、年会費27,500円でプライオリティ・パスが完全無料で付帯するJCBプラチナもおすすめできます。
年間50万円以上利用するなら無料で作れるゴールドカード
年間50万円以上クレジットカードを利用する方なら、エポスカードのゴールドカード「エポスゴールドカード」を無料で利用できます。
エポスゴールドカードの年会費は5,000円(税込)ですが、年間50万円以上の利用で次年度以降の年会費が永年無料になります。
また、年間利用金額に応じて最大1万円相当のポイントがプレゼントされる特典もありますので、年間の利用金額によっては非常にお得に利用できるゴールドカードです!
年会費無料のカードだけではなく損益分岐点を超える有料カードも選択肢に!
クレジットカードを選ぶ際に、ランニングコストとなる年会費は重要な選択肢のひとつです。
機能やスペックが同じなら年会費無料のカードを選んだ方がお得ですが、カードの利用状況によっては有料のカードを選んでも「損益分岐点」を超えるケースが少なくありません。
クレジットカードの損益分岐点は、ポイント還元率の差だけではなく、特典や付帯サービスの差でも変わってきます。
年会費無料のクレジットカードにこだわるのではなく、損益分岐点での比較でカードを選ぶことで、よりお得なクレジットカードを見つけることができますね!